Japanische Klassiker mit Furigana
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しもばしら
霜柱
山本 周五郎
Lesen Sie 霜柱 (しもばしら) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.328 Zeichen · 29 Bildschirme
「迷惑ならここで別れるよ」
「そろそろ癖が出るな」石沢は頭を振った、「そういう約束ではなかった筈だ」
「あんなくそじじいがいるとも云わなかったぜ」
「どこへゆくんだ」
「雪ノ井のほかにいい場所があったら教えてくれ」と喜兵衛が云った、「おちついて飲めるうちといえば雪ノ井がただ一軒、芸妓もいねえというんだからひでえ土地だ」そして吐きだすように付け加えた、「おれはまるでペテンにかかったような心持だぜ」
石沢金之助は黙って歩いていた。
大手門を出て堀端を右へゆき、蔵町から横井小路へぬけると馬場、その柵に沿った片側並木の道を左にまわり、明神の森につき当って、門前を右に二丁ほどゆくと大きな池のふちへ出る。雪ノ井という料理茶屋はその池畔にあるのだが、そこへゆくまでずっと、喜兵衛は休みなしに悪口を云い、女中に案内されて座敷へとおってからも、まだ舌の疲れはみせなかった。
その茶屋は池に東面し、左右とうしろに松林がある。二人のとおされたのは西の端にある座敷で、二方に縁側があり、庭へおりる段が付いている。そこから池まで約二十尺、向うに小さな桟橋が出ていて、小舟は二はい繋いであった。