Japanische Klassiker mit Furigana
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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Lesen Sie 青べか物語 (あおべかものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.888 Zeichen · 317 Bildschirme
「かんぷり」と長は兄のほうを見、ちょっと考えてみてから、あいまいな笑いをうかべた、「ああ、吉井エンジの子だな」
「うん、そんな子がいたっけ」と鉄さんは云った、「なにしろ綽名を付けるのが好きな土地でね、あたまってうちとしっぽってうちと、どっこいどっこいっていう」
「あとのは損得とも云うだ」と長が口を添えた、「何年かめえに百万坪で狸を捕ったやつがいただよ、そいつはそれからたぬきって綽名で呼ばれてるだ」
私たち三人は笑った。
「その、あたまとしっぽとどっこいどっこいのことだが」と鉄さんは云った、「むかしこの土地に大金持がいて、三人の伜に財産を分けただ、そのとき長男はあたまだからいちばん多く貰い、三男はしっぽで少なかった、二男はまん中で損得なしのどっこいどっこいだって云っただよ、それで」
「いや、それは違うね」と私がつい知らず云った、「ぼくが聞いた話によると、財産ではなく鯨だったね、いつのことかわからないがこの浜へ一頭の鯨があがった、それを三人の漁師がみつけて三等分したんだな、そのとき頭のほうを取ったのがあたま、尻尾を取ったのがしっぽ、胴中を取ったのが、これはまん中で損得なし、どっこいどっこいだと云った、それが綽名になっていまでもそう呼ばれている、というふうなことだったよ」