Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのいきのあと
青春の息の痕
倉田 百三
Lesen Sie 青春の息の痕 (せいしゅんのいきのあと) von 倉田 百三 (くらたひゃくぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.338 Zeichen · 254 Bildschirme
書物を読みながら本はつまらないといっていても、書物を断念しようとすればなかなかできはしません。「一燈園にはいって書物にだって……」とすぐ思います。私たちの物質欲はよほど根の深い力を備えています。私たちが物質欲のなかにいて、物質欲をなみすることは容易です。それには力はいりません。しかし物質欲をはなれようとする意志を起こすときには、その根の深い力と争うて打ち克つだけの魂の実力がいります。そしてその実力はもう詩でも観照でも表現でもない。ひとつの意志です。形式からいえば、食欲や性欲のような実質的な、最も詩と遠い意志です。天香さんが私たちに欠乏しているといわれるのはかかる力のことなのであろうと思います。
キリストや釈迦はかかる力にみちたる天才だったのでしょう。四十日食わずに野にいることは、それ自身宗教の本質とは縁遠いようでも、実際は宗教の本質はかかる力の上でなくては栄えないであろうと思います。ああ思えば、私たちはフランシスの伝記など読むにたえる人間ではありません。薄き衣で寒風に立つときの肉体的苦痛などを考えもせずに、フランシスの生活を心に描くのはすまないことと思います。