Japanische Klassiker mit Furigana
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せいどうのキリスト
青銅の基督
長与 善郎
Lesen Sie 青銅の基督 (せいどうのキリスト) von 長与 善郎 (ながよよしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.703 Zeichen · 133 Bildschirme
奥羽きっての勢力家で、小心で、大の野心家であった伊達政宗さえ、この年少気鋭な三代将軍の承職に当たって江戸に上った際、五十人の切支丹の首が鈴が森ではねられるのを眼のあたり見て、そのヤソ教に対する態度をガラリと変えたほどであった。
かくてなんでも徳川の基礎を万代に固めることが自家一代の使命であると心得ていた家光は、諸侯と直接刃をまじえて圧迫するようなまずい手段によらずに、諸侯がともかくも同意しないわけに行かぬ理由と名義のもとに、この日本の神を否定し、国法を無視し、羊のような柔和な顔をして、その実国土侵略の目的を腸に持っている「狼」の群れをみな殺しにすることによって、間接に徳川の威勢を天下に示し、同時に自分のそれの反照を眼のあたり見ることができることをこの上もなくおもしろがり、喜んだ。なんとなく気味のわるかった姻戚の伊達政宗までが思いがけない奥羽での切支丹迫害の報告書を奉った時、彼は自分がもうそれほどまでにおそれられているのかという得意のために、まだどこか子供子供したおもかげのぬけきらぬ顔をあかくし、パタパタとその書面をたたきながらそれを奥方に見せに座をけって立ったほどであった。