Japanische Klassiker mit Furigana
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せいどうのキリスト
青銅の基督
長与 善郎
Lesen Sie 青銅の基督 (せいどうのキリスト) von 長与 善郎 (ながよよしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.703 Zeichen · 133 Bildschirme
」次に彼はこう思った。と、急に胸が押しつぶされるように苦しくなり出して、頭を振り、またうなだれ、そして自家へ帰るとその夜っぴて不眠に悩みあかすのであった。
しかし夜が明けるやいなや、まっさおな顔をした彼は鼠色の沖から吹き来る浜風に身をふるわせながら出島の渡しのわきにたたずみ、一舟一舟、七、八人ずつ組みになって蕭条と戻り来る遊女の群れを充血した目で見守っているのであった。五番目の舟に君香はそのやつれた小さい顔を茶色のおこそ頭巾につつんで乗っていた。そして館の二階の窓に寝間着姿の半身を乗り出して、にやにやとぼんやり彼女らを見送っている二三の外人に向かってつばを吐き、「ばか。」といって、後ろ向きに腰をかけると、頭痛がするらしくその蒼い米かみを押えていた。
裕佐は彼女の跡をつけた。そしてその妓楼を見届けると、自家へ帰って午まで寝た。彼が妓楼というものに始めて上がったのはその夕であった。
彼は今も君香の事をおもうと、その幻が、彼の久しい恋人であった信者の娘、モニカの幻とごっちゃになり、一つになり、そしてモニカの幻は前者のそれの後ろにしだいに消えて行くような気がした。