Japanische Klassiker mit Furigana
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せいどうのキリスト
青銅の基督
長与 善郎
Lesen Sie 青銅の基督 (せいどうのキリスト) von 長与 善郎 (ながよよしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.703 Zeichen · 133 Bildschirme
へ、へ、さもしいもんで。」
裕佐は一言もいわず、すぐその場でこの男と別れようかと思った。孫四郎が自分を偽善者と思い、うそつきと思っていることは彼にはわかりすぎていた。しかし孫四郎の前で、まただれの前でも「おれは遊ばない。女にふれたことはない」とは彼は一度もいったことはないのである。「おれは遊ばない」ときれいに口をぬぐって陰でこっそり遊ぶのは偽善であろう。しかし、恥を知らぬ自堕落な連中が、どこまでもただ道楽を道楽として臆面もなく下等にばか話を吹聴し合っている時、一人沈黙を守るのは偽瞞でもなければ衒ることでもない。懺悔や告白はひそかに自分の神の前においてのみ神妙になすべきことであって、人前で、ことに孫四郎ごとき者の前で軽々しく喋々すべき事柄ではない。少なくとも打ち明けるべき場合に打ちあけるべき相手になら自分は決して陰日向を好む男ではない。――と裕佐は思っていた。その心持ちがみじんもわからずに「こんな何食わぬ顔をしていて……」と簡単にこそこそ者ときめている孫四郎の心事が彼にはこの上もなく不愉快だったのである。「そりゃそうと、わしは今ちょっとそのことでおぬしを訪ねたのだがな。