Japanische Klassiker mit Furigana
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あおおにのふんどしをあらうおんな
青鬼の褌を洗う女
Lesen Sie 青鬼の褌を洗う女 (あおおにのふんどしをあらうおんな) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.368 Zeichen · 79 Bildschirme
いっている。この男はまだ顔の泥をよく落しておらないけれども、大概似たような汚い顔の人たちばかり、顔を洗うことなんか誰も考えていない。
私と女中のオソヨさんは水に浸した布団をかぶって逃げだしたが、途中に火がつき、布団をすて、コートに火がついてコートをすて、羽織も同じく、結局二人ながら袷一枚、無一物であったが、オソヨさんの敏腕で布団と毛布をかりてくるまり、これもオソヨさんの活躍で乾パンを三人前、といったって三枚だ、一日にたったそれだけ、あしたはお米を何とかしてあげる、と係りの者がいうので空腹だけれども我慢して、そして私はオソヨさんが、もう東京はイヤだ、富山の田舎へ帰る、でも無一物で、どうして帰れることやら、などとさまざまにこぼすのをききながら、私はしかし、ほんとにそうね、などと返事をしても、実際は無一物など気にしていなかった。
何も持たない避難民同士のなかから布団と毛布がころがりこむし、三枚の乾パンでは腹がペコペコだけれども、あしたはお米がくるというから、私は空腹よりも、こうして坐っていると人が勝手にいろいろ何とかしてくれるのが面白くて仕方がない。私はちょっとした空腹などより、人間同士の生活の自然のカラクリの妙がたのしい。