Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ひじょうのあい

非情の愛

豊島 与志雄

Lesen Sie 非情の愛 (ひじょうのあい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.831 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

「僕はここで酒を飲んでるから、君たち、ゆっくり行ってきたまえ。」

そして彼は大田を呼んで、蟹と酒をたのんだ。

其処から西浦一家の住居の方へ行くには、廊下からの通路が板戸で閉鎖されているので、階下へおりて、料理場裏の狭い非常口を通らなければならなかった。

魚住千枝子が先にたち、秦啓源があとに随い、大田に案内されて行くと、すぐに二階の奥座敷へ通された。

祈祷の用意は出来ていた。

意外なほど簡単な仕度だった。紫檀の大きな卓上に、白木の小机が置かれていて、それが白布で覆われ、白布の上に金襴を敷いて、黒塗りの厨子が安置されていた。厨子の両扉は閉ざされたままで、なおその上、五つの丈夫な真鍮の帯が扉ごと取巻いていた。それは寧ろ堅固な箱で、どうして開くものやら分らなかった。その厨子に対して、蝋燭が二本ともされ、香が焚かれていた。

照顕さまの神子は、四十とも五十とも年令の見分けのつかない女で、細面で色が白く、眼を半眼に開いているというより細めているという感じの、無表情な蝋細工のような顔だった。髪を生え際はすっきりと鬢は大きくふくらまして取りあげ、紫紺色の着物に同じ色の袴をはいていた。