Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ひじょうのあい
非情の愛
豊島 与志雄
Lesen Sie 非情の愛 (ひじょうのあい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.831 Zeichen · 24 Bildschirme
――彼女は嘗て上海で、秦啓源の愛人だった。殆んど無意識のうちに、日常、霊界と感応して、特殊なことを予見する能力を持っていた。そして精神が燃えつきるような工合に、突然、静かに死んでいった。私は彼女について、ほかで述べたことがあるから、茲には省略しよう。
ところで、私の見るところでは、魚住千枝子と柳丹永は似ていなかった。霊界に関することは別としても、性格や容貌も似ていなかった。ただ、頬の薄い皮膚の緊張のさまだけが、そっくりであった。その一点だけが、今、どうして秦啓源の心に拡大されて写ったのであろうか、照顕さまの一件が反映した故であろうか。彼が異国の旅に在る故であろうか。――私はしみじみとした気持ちで、その夜、彼に蟹をすすめ酒をすすめた。
とはいえ、柳丹永のことを秦がいい出した一事は、何か気になった。その翌日、波多野洋介が魚住千枝子を拉し去るようにして、母や家人の思惑も憚らず、山間の温泉へ行ってしまったことを知って、私はなぜか冷りとした。大田梧郎も不安な気持ちを感じたらしかった。秦啓源も凶めいた感情を懐いたらしかった。それが何故であるかははっきり言い難い。