Japanische Klassiker mit Furigana
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おもかげ
面影
小川 未明
Lesen Sie 面影 (おもかげ) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.048 Zeichen · 8 Bildschirme
二
なんだか斯う、彼女の面影が目に見えて来る。そういえばこの道を去る秋、共に通ったことがあったのである。
ああ、もうもう思うまい思うまい、悲しいんだやら、こう気が焦ってくるばかりで、やはりこれが悲しいんであろう。涙が知らずに湧いて来る。
どれ、ハーン先生の墓にでも詣ろう。……
二
思えば一昨年、ちょうど季節は夏の始めである。青葉の杜を見ても、碧色の空を見ても何となく、こう恋人にでも待たるるような、苦しいかと思うと悲しいような、又物哀れな慕わしげな気持のする頃であった。
自分は学校の窓から裏庭の羅漢松の芽の新なる緑を熟と見入て色々の空想に耽っていた。するとベルが鳴ってハーン先生が来たのである。この日初めて先生の顔を見るのだ。
先ず空想に浮んだのはこの人が希臘に生れ、西印度諸島や、その他諸方を流浪して来たと云うことである。背の低い眇目の、顔付のどことなくおっとりとした鼠色の服を着ていなさる、幾人の兄弟や、姉妹があり、父や母は何処にどうして、而して真面目な恋もあって、それが成就しなかったのではあるまいか。などと種々の空想を廻らしていた。やがて講義が終えてから、運動場に出て、羅漢松の木蔭の芝生の上に腰を下して漫々たる碧空に去来する白雲の影を眺めていると、霊動する自然界が、自ら自我に親しみ来るように思われる。