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Japanische Klassiker mit Furigana

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かばんらしくないかばん

鞄らしくない鞄

海野 十三

Lesen Sie 鞄らしくない鞄 (かばんらしくないかばん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.653 Zeichen · 73 Bildschirme

Aozora Bunko

すると怪しい乗客の連れである若い女が博士の方へ身体をおっかぶせるようにのしかかって来て、女の膝が博士の膝を強く押した、すると急に博士は気が遠くなってしまったんだそうです」

「どうしたのだろう」

「女の膝から博士の膝へ、或る麻薬の注射が施されたんでしょうね。博士は、そういえばちくりとしたようだといっています。――それから博士は、意識の朦朧たる裡にも、膝の間に挟んでいた鞄が掏りかえられるのに気がついたそうです。しかし声を出そうにも手をあげようにも、どうにもならなかったそうです。そしてそのうちに何もかも分らなくなった……」

「怪しい奴は、すると男と女と二人組なんだね」

「そうなんです。これが頗る重大な事柄なんですが、田鍋さん、博士はその男女の顔をよく覚えているといって、人相を話してくれましたが、男も女もなかなか目鼻の整った美しい人物だったといいますよ」

「えっ、何という。美男美女だって?」

「正に美男美女なんです。そしてそれがですよ、ほら博士邸が焼けた晩ね、あの晩に研究室にいて小山すみれを相手にしていた若い美貌の男――万沢とかいいましたね――あの男とそれから後にピストルを持って現われた美人がありましたね、あの女と、この両人らしいのですよ」