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Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.832 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

口をひらけば必ずなにか癇にさわるようなことをひと言いう。感じがあるのか無いのか、いくら怒鳴りつけても、ニヤリニヤリと不得要領に笑っているばかりで、つかまえどころがない。その揚句、なんだかんだとうまくおだてては幾許かの小遣をせしめる。庄兵衛老、根がお人好しなもんだから、ついひょろりとせしめられ、余程たってから気がついて、また、してやられたぞと膝を掻きって立腹する。

庄兵衛の妹の末子で今年二十八。

五年ほど前に甲府勤番の株を買ってやったが、半年も勤まらず、役をやめて江戸へ出て来たということであったが、どこをのたくっているのか一向に寄りつかず、消息さえもなかったが、昨年の暮近く、垢だらけの素袷に冷飯草履をはき、まるで病上りの権八のような恰好で木枯といっしょにひょろりと舞いこんで来た。

その時の言い草がいい。胡坐をかいたまま、懐から手を出してのんびりと長い顎を撫でながら、

「すこし、親類づきあいをしますかな。……叔父上、あなたも、甥の一人ぐらいは欲しい齢になったろ」

と、言った。

それにしても、ふるった面である。こんなふうに床柱などに凭れていると、そそっかしい男なら、へちまの花活でもひっかかっているのかと感ちがいするだろう。