Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.621 Zeichen · 25 Bildschirme
眼もあてられない愁嘆場で、送りの同心もつい貰い泣きをすることがあるそうです。……まあ、そのうちに竹法螺が鳴って囚人は川岸から艀舟へ追いこまれる。……だいたいこれだけのものですが、中には隙を見て海に飛びこもうとする奴もあれば、同心や船頭を斬りころして船を盗んで呂宋まで押しわたろうなんて、えらいことをたくらむ奴もある。八丈島、三宅島まではわずか四五日の船路ですが、物騒でなかなか油断が出来ない」
「なるほど。……それで南と北の与力同心は品川沖の親船までおくって行くのか」
「いいえ、そうじゃありません。御浜なり永代橋なりで艀舟へ乗せると、奉行所の手をはなれて御船手役人の手に移るンです」
「よしよし、よくわかった。だいぶ話が面白くなってきたようだ。……まあ、軍鶏でも突つきながら話すことにしよう」
両国広小路の『坊主軍鶏』。ほどのいい小座敷をたのんで軍鶏をあつらえる。
顎十郎は、盃をとりあげてのんびりと口に含みながら、
「なあ、ひょろ松、十五日に島送りになった七人の中に、えらい盗人がいたそうだな」
「へえ、伏鐘の重三郎といいましてね、上総姉崎の漁師の伜で、十七のとき、中山の法華経寺へ押入り、和尚をおどしつけて八百両の金をゆすり取ったのを手はじめに、嘉永四年の六月には佐竹の御金蔵をやぶって六千両。