Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.712 Zeichen · 29 Bildschirme
……さっきから、ちっともその話が出ないようだが」
そう言って、同意を求めるように、一座の顔を眺めわたした。
佐原屋が絞め殺されているのを見た時、とっさにみなの頭にひらめいたのはこの考えだったが、そのやり方になんともいえぬ凄いところがあって、闇討ちや刀槍の威迫にはいっこう驚かぬ剛愎な連中も、さすがにどうも膚寒い気持で、その話にだけはなんとなく触れたくなく、諜しあわしたように口を噤んでいた。
日進堂がそう言うと、和泉屋は、むしろホッとしたような顔で、
「まず、そうと思うよりほかはない。……われわれとしては、すでに覚悟のあることで、こんなことぐらいで弱気になるのではないが、あまり水ぎわ立ったやり方なんで、さすがに、ちっとばかり凄いようで……」
佐倉屋もうなずいて、腕を組んで凝然としている仁科のほうへ向きなおり、
「……ねえ、仁科さん……たとえ、どう理が合わなくとも、これが獺や、怨霊のしわざだなぞと、そんな馬鹿気たことはわたしらは考えない。……絞めた蕃拉布のはしを急にとけないように小間結びにしておくなんて芸当が、怨霊にできるわけのもんじゃないんだから、もとより、人間のしわざに違いないんだが、だから、いったい、どんなふうにして入って来て、どんなぐあいに出て行ったものか。