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Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.712 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

これが、いま江戸一といわれる捕物の名人とは、チト受取りにくい。

檐に近いところでは、れいのひょろ松、熱い瓦を踏みながら、廂をのぞきこんだり、樋口を調べたり、河から照りかえす西陽をまっこうに浴びながら、大汗になって屋根の上を走りまわっている。

顎十郎は、扇子で脇の下へ風をいれながら、うっそりとそれを眺めていたが、ああんと顎をふりあげると、おかったるい間のび声で、

「どうだ、ひょろ松、なにか眼星しい手がかりがあったか」

ひょろ松は、檐のはしへ手をかけて廂の下をのぞきこみながら、突慳貪に、

「ええ、ですから、そいつをこうして探しているんで……」

顎十郎は、ニヤニヤ笑いながら、

「そうやって、尻を持ちあげて檐下をのぞいている様子なんざ、ちょっと、鳥羽絵にもない図だぜ。……ついでのことに股倉眼鏡でもしてみたらどうだ、変った景色が見えるかもしれねえ。……お江戸が見える、浅草が見えるッてな」

ひょろ松は、ムッと頬をふくらせ、

「ひやかすのはおよしなさい……そんなところで高見の見物ばかりしていないで、すこし手伝ってくれたらどんなもんです。……あっしだって、洒落や冗談でこんなことをしている訳じゃねえんでさ」