Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.712 Zeichen · 29 Bildschirme
「そう怒るな……あまり怒ると腹なりが悪くなる。……冗談は冗談として、いつまでそんなことをしていたっておかげがねえ、もう、そろそろ切りあげたらどうだ。いくら屋根を嗅いで廻ったって、こんなところに手がかりなんかあるはずはないんだ」
ひょろ松はツンとして、
「ないとは、そりゃまた、なぜに。……どんなことがあっても土扉のほうから来られるはずはないのですから、二階の広座敷へ入りこむとすりゃア、この屋根だけがただひとつの通り道。……だから、こうして、脳天を焦して……」
「まず、無駄だな」
「ほう、驚いたね……じゃア、そもそもどこから入りこんだと言うんです」
顎十郎はトホンとした顔つきで、
「それは、おれにもわからない。……それで、こうやって、せいぜい首をひねっているところだ」
「相変らずはぐらかしますねえ、まともに口をきいていると馬鹿を見る……まあ、それはいいとして、あいつが屋根を通らなかったというゆえんは、ぜんたい、どうなんです」
顎十郎は、ポッテリした顎をのんびりと指の先でつまみながら、
「佐原屋が絞め殺されたとき、えらい土砂降りだったそうだな」
「ええ、そうです」
「寮からの迎えで、お前があわてて駈けつけた時も、まだ降っていたそうだな」