Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.712 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

「おい、土扉をしめて錠をおろしてしまえ」

と、命じておいて、三人のほうへ向きかえると、

「こりゃあ、どういう次第だったんですか。……三人の目の前で和泉屋さんが締め殺されるなんてえのは、チト受けとれぬはなしですが……」

日進堂はすすみ出て、

「じつは、和泉屋が熱さに逆上たと見えて、急にひっくりかえってしまったので、あわてて盃洗の水をぶっかけたんですが、それがこの始末……」

「なるほど……それで、盃洗の水をひっかけたのは、いったい、どなただったんですね?」

日進堂が、

「それは、あたしです」

顎十郎は、ははあ、と、間のびした声でうなずいていたが、急にニヤニヤ笑いだし、

「つかぬことをおたずねするようだが、皆さんが首に巻いていられる蕃拉布は、日進堂さんからお貰いになったものではありませんか」

長崎屋はうなずいて、

「いかにも左様。……この五月、長崎の土産だといって、日進堂がわれわれ五人に分けてくれたのですが……」

顎十郎は、急に血の気をなくしてワナワナと唇を顫わせている日進堂を尻目にかけながら、また二人にむかい、

「たぶん、そんなことだろうと思いましたよ。……この蕃拉布が命とりだとは、ちょっと誰でも気がつきますまい。