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Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.712 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

……いま、その証拠をお眼にかけますから、ちょっと、その蕃拉布をお貸しください」

長崎屋がはずしてよこした蕃拉布を受けとると、それをかたわらの盃洗の水の中に浸しながら、

「さア、よく見ていてください。……この布は竜舌蘭という草の繊維を編んだもので、水がつくと、たちまちギュッと縮んでしまうのです」

仁科と長崎屋が眼をそば立てて眺めていると、顎十郎の言う通り、水の中に入れた蕃拉布は蛭のようにクネクネと動きながら、見る見るうちに五分の一ほどに縮んでしまった。

あッ、と声をのんで茫然としているうちに、顎十郎は、日進堂の肩に手をおきながら、

「……ねえ、日進堂さん、こういう不思議なものを贈物にして、そいつが水に濡れて自然に首をしめてくれるのを気長に待っているなんぞは、あなたもそうとう性悪だが、最後にあなたが手をくだして盃洗の水をひっかけたのはまずかった」

「畜生ッ」

「なんて言ったって、もう追いつかない。……あなたが天草屋の一族だったということは、きょう調べが届いたから、復讐のためにこんなことを考え出したのだろうとは、うすうす察していたのですよ。……長崎屋さん、この日進堂は、むかし長崎で、あなたがた五人組につぶされた天草屋の次男だということはご存じなかったと見えますな」