Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.494 Zeichen · 26 Bildschirme
並九曜の紋のついた浜縮緬の単衣羽織をフワリと着せかけると、また、もとの席までもどって行って、首をかしげながらつくづくと眺め、
「よく、おうつりになりますわ」
「てへへへ、馬子にも衣裳というやつ」
「その洒落は古うございます」
と、はね返しておいて、両手をつかえて、
「御用をうけたまわります」
顎十郎は、恐悦のていで長い顎のさきを撫でながら、
「そう改まれるとちと気がさすが、せっかくのことだから、遠慮なく申しますぜ。……酒のほうは、すこしねばるが、花菱に願いましょう。銚子では酒の肌が荒れるから、錫のちろりで、ほんのり人肌ぐらいに願います」
「かしこまりました」
「……最初は、まずお吸物だが、こいつは鯛のそぼろ椀ということにいきましょう。皮を引いたらあまり微塵にせずに、葛もごく淡くねがいます。さて、……ちょうど、わらさの季節だから、削切りにして、前盛には針魚の博多づくりか烏賊の霜降。つまみは花おろしでも……」
「かしこまりました。煮物はなんにいたしましょう」
「ぜんまいの甘煮と、芝蝦の南蛮煮などはどうです。小丼は鯵の酢取り。若布と独活をあしらって、こいつア胡麻酢でねがいましょう」