Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.494 Zeichen · 26 Bildschirme
形どおりに片身をひらきながら、
「仙波、お調べだ、出ろ」
顎十郎は、ハッ、と頭をさげ、
「ただいま、仕度いたしております。……それはそれとして、ここに、さる御高位の方の一命にかかわるような大変な急事がございます。この通り、逃げ隠れするところもない揚屋の中へとりこめられてるのですから、わたしのお調べは、いつなりとお心のまま。しかし、一刻の後にさしせまったこの危急は、いま、時を逃せばとりかえしのつかぬゆゆしい大事が出来いたします。わたくしといたしましては、これが最後の御奉公。お取調べを小半日御猶予くだされ、お願いもうす品々をお差しいれくださらば、それによって犯人の見こみをつけ、この不祥事を、かならず未然にふせいでお眼にかけます。……非違は非違として、手前がいささか推理の法に通じていることは、あなたもたぶんご存じのはず。……手前が申すことを、なにとぞ御信用くださって、ただいま申しあげた次第、枉げてお聴きずみ願わしく存じます」
藤波は、キッと眉を寄せてなにか考えていたが、油断のない顔つきで、
「もとより、どんな奸策をめぐらそうと、おめおめ貴様を逃がすような藤波じゃないから、そのほうの懸念は少しもない。