Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.435 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

「そんならなんでこんな騒ぎをする」

「いけないことには、伏鐘重三郎が茅場町あたりで上ってしまったんです。足どりを辿ると、そこから八丁堀まで歩いて行って、八丁堀の船清という船宿から猪牙に乗って浜松町一丁目まで行き、佐土原屋という木綿問屋へ入ったということがわかった。それっというンで佐土原屋を押しつつむと、こっちの焦りかたもいけなかったんですが、引っかかったのは店にすわって金巾をいじくっていたほんの下ッ端の五六人。伏鐘と頭株の十二三人は二階から物干に出てチリチリバラバラに逃げてしまいました。これがちょうど四ツころの騒ぎで。……しかし、こっちもひろく手を配ってあるンだし、あそこから田町へかけては堀と橋ばかりのようなところだから、縮めて行ってとうとう芝浦まで追いつめたンです。……月のいい夜だから、あの原っぱへ追いこんだら、もうこっちのもんだと多寡をくくったのがいけなかった。夏草のあいだを走りぬけて行く姿はたしかに見たンですが、さて、海岸までつめて行って見ると影も形もない。小船で逃げたようすもないから、ひょっとすると、海でも泳いでどっかへあがったにちがいないというンで、それで、こうして大捕物をやっているンです」