Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.435 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

石船なら神田川から上にのぼる気づかいはない、くだるほか法がない。なにしろ石船は底が沈んでいるからお茶ノ水からのぼって行けない。そう見こみをつけたもンですから、左衛門橋から上は放っておいて、手をそろえて、ワッと川下だけに張をまわしたンです」

「やって来たか」

「やって来ました。……芝居でつかう張抜き。……日本紙を幾枚も張り重ねて膠とへちまで形をつけ、岩でもなんでもつくるあいつ。……あの伝で張抜きの石を克明に千両箱へひとつずつ被せましてね、遠目ではどう見たって上総の石船。どうしたって見すごしてしまうんです。こんなぐあいにして鵜の目鷹の目の中をゆうゆうと北新堀までくだって来た。……ところでね、阿古十郎さん、わたしだって馬鹿じゃない。北新堀の堀っぷちで腕組みして考えた。石船ならのぼるのが本当でしょう。房州の上総石がお茶を引きはしまいし、石を積んで上からくだって来るというやつはないだろう。こいつは臭いと思ったから、船をとめさせて指で石をはじいて見ると、カチンというところがポコンといった。これで伏鐘組は寂滅。伏鐘の三羽烏といわれる毛抜の音、阿弥陀の六蔵、駿河の為と、この三人はもちろん、船頭に化けて水馴棹をつかっていた一味十二人、そのままそっくりこっちの網に入りました」