Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.984 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

「この朝がけからご厄介なこった。今日も暑くなるぜ。しょうがねえ、ひと汗かきに行くとするか」

と言って、もう一度、三階のほうを見あげ、

「前後の模様から推すと、おもんは別れてからも、藤五郎の留守にチョクチョク吉兵衛をひっぱりこんでいたんだと見えるな」

十吉はうなずいて、

「まず、そのへんの見当で。……これじゃ話がもつれるのが当然だ。じゃア、お伴いたしやしょう」

ようやく六ツになったばかり。磨きあげたような夏の朝空。

薬包紙

膳椀の箱やら金屏風やらあわててゴタゴタと運びこんだ土蔵の中に蒲団を敷いて、おもんは、その上で血を吐いて死んでいる。

よほど苦しかったと見え、船底枕を粉々に握りつぶしている。血の痕を辿って見ると、いちど土蔵の扉のところまで這って行って土扉に手をかけたが、力つきてまた蒲団のところまで戻ってきてここで縡れたのらしい。

ひょろ松は、藤五郎のほうへグイと膝を進め、帷子の袂から珊瑚の緒止めのついた梨地の印籠を取りだして、藤五郎の眼の前へそれを突きつけ、

「……こんなものが土蔵の庇あわいのところに落ちていたが、藤五郎さん、これは、お前の印籠だろうね」