Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.550 Zeichen · 27 Bildschirme
九つの盃
叔父の庄兵衛から借りた五ツ紋に透綾の袴。服装だけはどうにか踏めるが、頭は駕籠屋。前分髷が埃で白くなっている。
トホンとした顔を怖れげもなく振りあげて、透き通るような加代姫の顔をマジマジと眺めながら、
「いまも申しあげましたように、くどいようだが、日本国じゅうの人間がみなあなたの反対についても、手前だけはあなたの味方です。なにしろ、事情はたいへんあなたに不利なのですから、このままだと、どうしたってあなたが下手人になる。二進も三進も行かなくなっているんですが、あなたさまが裏の事情さえ話してくだされば、手前がかならず反証をあげてこの急場からお救いもうします。なんて言うと恩におきせするようだが、決してそんなんじゃない。いわばこれが手前の道楽。……手前の身状については、叔父の庄兵衛から申しあげたはずですが、なんと言いますか、ちょっと文殊菩薩の生れかわりとでもいったぐあいで、手前がひと睨みくれますと、どういう入りんだ事がらでも即座に洞察いてしまう。実にどうも大したものなんです。ひとつ手前の腕を信用してありようを、ざっくばらんに話していただきたいもんですが」