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Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.406 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

まア、どうかお気にさえられないように……」

万屋の店を出ると、顎十郎はニヤリと笑って、

「どうだ、ひょろ松。棺がふたつ入ったというおれの推察にはちがいはなかったろう。奴らのほうではよほど以前からチビチビと毒を盛っているンだから、盛り加減で、だいたいいつごろお米が絶気するかわかっている。万屋で平野屋へ棺を注文したのを見とどけると、へい、ただ今と用意してあった棺をかつぎこむ。こりゃア誰にしたって怪しむセキはない。お米のそばに残っているのはお時という小間使ひとり。こいつは同類なんだから、棺をしょいこんで来たやつに手を貸し、棺へ入ってきた替玉とお米をすりかえ、その中のひとりは中ノ玄関で待っていて、平野屋の隠居がかついできた棺の断りを言う。いや、もうじつに簡単な話。こんなことがどうしてお前の智慧に及ばなかったか、そのほうがよっぽど不思議」

ひょろ松は、照れくさそうな顔をして、

「ひとがひとり死にゃア棺桶はひとつにきまったもの。そうとばかりかんがえが固まっているもンだから、ふたつとまでは思いつけませんでした。いや、どうも大失敗」

「……それについて、おれはちょっとかんがえたことがあるンだが、お前、すまないが万屋へもどって、お利江さんをちょっと呼びだして来てくれ。