Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.904 Zeichen · 28 Bildschirme
ためなら決して、じぶんで鮨売などにはなりません。鮨売の後からついて歩いて、声の調子やメリハリの細かい勘どころを仔細に見とりいたします。じぶんが鮨売になったのではそういう見とりは出来ません。なにとぞ、そのへんのところも、しかるべくおかんがえあわせくださいませ」
顎十郎はうなずいて、
「今までつくづく伺っていたが、お前さんの話に嘘はない。……八ツから七ツまでのあいだ、寮にいたかいないか、そんなことはともかく、わたしならば鮨売にはならないだろうというひと言が、お前さん、はっきりと無実を言いといている。……なるほど、こいつは理屈だ。型をとるのにじぶんが鮨屋になるやつはない。もっとも過ぎておかしなくらい。なぜそういうことに今まで気がつかなかったか」
いつになく殊勝らしいことを言っておいて、
「こうなったら正直にぶちまけるが、今のお前さんの話を聴くまでは、鮨売にばかり眼をつけて、ほかのことはかんがえて見るひまがなかった。この件のおさまりがついたら、それはお前さんのお手柄。……ようやくこれでハッキリしたが、すると、こんどの件はこういう筋なのにちがいない。……お前さんによく似たどこかの悪が、お前さんがこんど小鰭の鮨売の所作を出すということを盗み聞き、三津五郎が鮨売の型をとるために、鮨売になってふれ売りして歩く候の、印物をくれる