Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.527 Zeichen · 23 Bildschirme
と、わからないことを言っておいて、急に切って放したようなようすになり、
「叔父上、……それから、ひょろ松。……あなた方は、ついこの頃よく江戸の市中に売りに来るようになった『石見銀山鼠とり』……石見国邇摩郡の石見銀山の石からつくった殺鼠剤、これがひとの口にはいると、虎列剌と寸分たがわぬ死に方をするということをご存じか」
きょろりと、二人の顔を眺めて、
「赤斑も出れば、痴呆面にもなる。手足の硬直、譫言、……米磨汁のようなものを痢し、胆汁を吐く。息はまだ通っているのに、脈はまるっきり触れない。……なにもかにも同じなんだ。……つい十日ほど前、砂村で、子供が餅についた鼠とりを知らずに喰った。これを診たのが、導引並の若い医者だが、あまり虎列剌と症状が同じなのに驚いた、という噂話が、中間部屋で寝っころがっているうちに、なんとなく手前の耳にはいった」
と言って、言葉をきり、
「手前は堺屋へ行ったわけではない。なにもわざわざ出かけて行かなくともちょっと理詰めにしてみると、このくらいのアヤはわけなくとける。……これはピンからキリまで手前の推察だが、大きなことを言うようだが、けっして、これにははずれはない。