Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.468 Zeichen · 25 Bildschirme
こうして三年も生きていたんですか。いや、これほどまでとは思いまっせんでした。なるほど、この執念なら祟りもしましょう」
アコ長はなにかに熱中したときの癖で、眉のあいだに深い竪皺をよせながら糸蝋燭の灯で守宮をためつすがめつして眺めていたが、唐突に清五郎のほうへ振りかえると、圧しつけるような低い声で、
「この離家が建上ったのはいつだと言ったかね」
「三年前の五月でございます」
「お前が屋根裏へあがったのはいつだった」
「今年の二月でございます」
「すると、守宮がここへ釘づけになってからちょうど二年と四カ月たっているわけだな」
「さようでございます、そんなかんじょうになります」
「それにしてはチト妙だな」
「なにがでございますか」
顎十郎は、守宮の胴中を突っ通している五寸釘をさしながら、
「二年以上もここに突き刺さっていたにしては、まるっきり釘の錆び方がちがう。……守宮の身に近いところはともかく、釘の頭のほうはもっと錆が浮いていなければならないはずなのに、見ろ、この通りまっ新だ」
清五郎は釘に眼をよせて眺めていたが、たまげたような声で、
「なるほど、こりゃあケブだ。三年前の釘がこう新しいはずはありません」