Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.468 Zeichen · 25 Bildschirme
「一年どころか、遅くてせいぜい二十日。ことによればまだ四、五日しかたっていない。……妙なのは釘ばかりじゃない。……清五郎、よくこの虫を見ろ。お前は守宮だといったが、これはこのへんの堀にいる赤腹だ。守宮なら無花果の葉のような手肢をしているが、これにはちゃんと指趾がある。ここに釘づけになっているのは守宮でなくて蠑だ。……そんなに遠くでへっぴり腰をしていないで、近くへ寄ってよく見ろ」
清五郎は首を差しのべておずおずと眺めてから、
「いかにも、こりゃア赤腹」
アコ長はニヤリと笑いながらとど助のほうへ振りかえり、
「とど助さん、少々妙ですな。……ご承知の通り、守宮なら灯に集ってくる虫を喰うために檐下や壁を這いまわりますが、蠑※(「虫+原」、第3水準1-91-60)のほうは、もともと水の中にいる虫。せいぜい川岸の草のあるところぐらいしかあがって来ぬものです」
とど助は眼玉を剥いて、
「すると、どいつかワザワザこんなところへ蠑※(「虫+原」、第3水準1-91-60)を釘づけしに来たものがあると見えますな」
「まず、そのへんのところ」
と言って、天井板の上にうっすらたまっている埃を指さし、