Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.468 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

「向島の花見で助けたのが新田数負。助けられたのが末娘のお節。……次々に妙な死に方をしたのは男のほうは総領から四男まで。女のほうは姉娘とおふくろ。生き残っているのは父親と居候的の新田と末娘のお節の三人。……ところで、数負の親父は蘭方医で和蘭の本草学にくわしいということになれば、阿波屋の事件はもう答えが出たようなもんだ。……どうだ、ひょろ松、それともお前のほうになにかかくべつの見こみでもあるのか」

「こう筋が通ったうえで、べつな思いつきなどあろうはずはありません。……いつぞやの堺屋騒動のときも、ちょうどこんなふうにうまく出来すぎていて、ついひっかかって失敗りましたが、こんどは大丈夫、金の脇差」

会心らしくニヤリと笑って、

「過ぎたるは及ばず、ってあまりうまく段取りをつけすぎるから、けっきょく露見してしまう。悪いことというのはなりにくいものとみえます」

ひょろ松が感懐めいたことを言っていると、黒板塀の裏木戸のほうを眺めていたとど助が、なにを見たのか、おやッと声をあげた。

「あれをごらんなさい、なにか妙な歩き方をしておる」

四人があけはなしになった裏木戸のほうを眺めると、いま噂になっていた新田数負が、泉水の縁にそって、薄月の光に照らされながらヒョロヒョロと離家のほうへ歩いて行く。