Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.468 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

「ごらんなさい、赤痣が」

よろめきまわるはずみにどこかへ打ちつけたとみえて、右の膝小僧のところへ擦傷が出来、そこからトロリと血をしたたらしている。それからすこしあがったあたりと右の脇腹のところに甚松の身体にあったような文久銭ほどの赤痣が罌粟の花のように赤くクッキリと残っている。

アコ長はいつになく戸惑ったような顔で、

「こいつは大しくじり。たいへんな見当違いだった。……この工合ではもういちど始めからやり直さなくちゃならねえ。……それはともかく、こんなとこへ放っておけない。……清五郎、とにかく母家へ知らせて来い」

蒼くなって顫えている清五郎の尻をたたくようにして母家へ追いたててやってから四人で数負を離家へ運び入れようとしていると、母家へつづく柴折戸を引き離すような勢いで押しあけ、バタバタと駈けて来たのは末娘のお節。

若さの匂いが滾れ出すような水々しい肌に喪服の黒はよく似あう。下着の鹿の子の赤い色をハラハラ裾からこぼしながら足袋はだしのまま息も絶え絶えに駈けよって来て、長い袖をハタとうちかけ、両手を掻きいだくようにして数負の胸に喰いつくと、ワッと声をあげて身も世もないように泣き沈んでしまった。