Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.468 Zeichen · 25 Bildschirme
……くそッ、どんなことがあっても、それまでは死にはしないから……。おのれ、待っておれ……」
恐ろしものがすぐそばにでもいるように、取りとめのない囈言をいいながら、つかみかかるような身振りをする。
「畜生ッ、……脇差を……、早く脇差を……そらそら、逃げてしまうから」
脇差を捜そうとするのか、急にムックリと起きあがってあらぬかたへ匍い出そうとする。
ひょろ松は顎十郎のほうへ振りかえって、
「阿古十郎さん、いったいなにを言ってるンでしょう。なにかしきりに言いたがっているが、訊きだす方法はないもんでしょうか」
「こういうひどい熱だからちょっと覚束ないが、やるだけやって見よう」
と言って、数負の耳に口を寄せ、
「新田さん、新田さん、阿波屋のかたきというのはなんのことです。ひと言でいいから言ってください。わたしたちがきっとぶった斬ってやりますから。……ねえ、たったひと言」
数負は、こちらの言うことがまるきり耳へとどかないようすで、眦も張りさけるかと思うばかりにクヮッと眼を押しひらき、ただ、脇差、脇差、と言うばかり。アコ長は歎息して、
「こいつはいけねえ。ひと言いってくれさえすりゃあ、なんとか手がかりがつくのだが、……」