Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.468 Zeichen · 25 Bildschirme
……そんなら、ひょろ松、お前とふたりで」
籬のそばに、まだ花のない萩のひとむらがある。
アコ長とひょろ松がそのうしろにかがんで黒い口をあけた破風のほうを見あげていると、ほどなくその穴からお節の頭と肩があらわれてきた。右手に鼻紙につつんだ菓子づつみのようなものを持ち、たゆとうように梯子の桁を踏みながらソロソロと下へおりて来る。
窺うようにあたりを見まわして堀につづく油蔵のほうへ行こうとする。唐突に萩のうしろから立ちあがった顎十郎、ツイと前へまわってお節の前へ立ちはだかり、
「お節さん、いま妙なところから出て来ましたな。いったい、どんな用があって屋根裏なんぞへあがって行ったんです」
きめつけるように言って、手を伸ばしてお節が持っている紙づつみをツイと取りあげ、紙づつみをひらいて見るとついさっき屋根裏で見た釘づけの蠑※(「虫+原」、第3水準1-91-60)。
「おう、妙なものですな、いったい、こりゃなんです」
お節はパッと顔を染めて、
「お恥ずかしゅうございます。これは恋の咒いの蠑※(「虫+原」、第3水準1-91-60)。……数負さまが阿波屋に居候になっているのを嫌がられて、どうでも立退くとおっしゃいます。