Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.468 Zeichen · 25 Bildschirme
「いきなり守宮とばかり申しあげてもおわかりになりますまい。いま、くわしく申しあげますから、ひと通りお聴きとりねがいます」
と言って、顫える手で濁酒の茶碗をとりあげてグッとひと息にあおりつけ、
「……話はすこし古くなりますが、ちょうど今から三年前。阿波屋の離れ座敷を普請することになって、あっしがその建前をあずかったんでございます。……このほうにはべつに話はございません。日数を切った仕事でありませんから、じゅうぶん念を入れ、存分な仕事をしたんでございます」
「うむ」
「……すると、今年の二月ごろ、あっしのところへ阿波屋さんから迎えが来ました。なんの用かと思って行って見ますと、離家のことなんだが、夜ふけになると、風もないのに木の葉のすれあうような微かな音がし、そのあい間あい間にハーッと長い溜息が聞えてくる。そればかりならまだいいが、ウトウトと眠りにつくと、黒雲のような密々としたものが天井から一団になって舞いくだってきて胸や腹へのしかかり、朝まで魘され通しに魘される。あの離家になにかさわりでもあるのではないかと思われるから、とっくり調べてもらいたいという埓もない話なンです。