Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.674 Zeichen · 36 Bildschirme
……明日は明日はと、ようやく今朝まで宥めすかし、さきほど、間もなく、もうお氷がおあがりになるということを聞きまして、飛ぶようにして駈けつけてまいったような次第……」
番衆はうるさがって、
「お雪がほしいのは誰もおなじこと。……子供の時疫どころか、親の死目にたったひと口なめさせたいと、きょうの明けがたから来て、待っているひともある。……親の死目の、子供の時疫のと、いちいち事情を聞いていたんじゃ、おさまりがつきやしない。……まあ、まあ、順にあげますから、列についてください」
浪人者は、みすぼらしいほどに頭をさげ、
「……まことにもって、勝手次第、お詫びのいたしようもござらぬが、大熱の伜をたった一人にしてまいりまして、こうしておりましても、万一を思われて、気もそぞろになります」
血走った眼で、列についている人びとを見まわし、
「お並びのご一統には、この通り……」
丼を持ったまま、地面に片膝をつき、
「……この通り、お詫びをもうす。……なにとぞ、手前勝手を……」
番衆は顔をしかめて、
「そんなところに膝をつかれては困る。……順々ときまったことだから、順のくるまでお待ちなさい」