Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.819 Zeichen · 26 Bildschirme
とど助は、うなずいて、
「うむ、知っておる。伊予松山の八百八狸、佐渡の団三郎狸……讃岐の禿狸といえば、大した顔だ」
狸は、てれ臭そうに、額を掻いて、
「そんなふうにおっしゃられるとてれッちまうんですが、実は、わたくしは、京極能登守さまのお先代がお屋敷に金比羅さまを勧請なさいましたとき、金比羅さまのお伴をして讃岐からやってまいりまして、この狸穴に住みついたのでございますが、おいおい眷属が増えまして、只今、三百三十三狸になっております」
「それは、えらい繁昌だの。……それで、なんのために所変えなどいたす」
「以前までは、われわれは大切にかけられ、町内にお狸月番などというものがございまして、供物や掃除やとよく行きとどき、いたって気楽に暮らしておりましたのですが、そういう古老がおいおい亡なられて、われわれをかまいつけるような奇特な方も少なくなり、それに、この節、このへんに人家が立てこんで来ましたせいか、たいへんに犬が多くなり、いかにも住みにくくなりましたので、思い切って古巣をすて、豊島ガ岡あたりの物静かなところへ引きうつろうと思うのでございます」
「なるほど、よくわかった。