Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.819 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

今夜は、ご婦人のようですぜ」

「そうらしいの。どんなふうに化けてくるか、楽しみだの」

熊笹を、カサコソと踏みわけながら闇の中から出て来たのは、二十四五の、それこそ、水の垂れるような器量よし。

島田に銀元結をかけ、薄紅梅の振袖を腕のところで引きあわせるようにして、しんなりと立っている。

痩せぎすの、すらっとしたいいようすで、眼だけは例によってちと大きいが、女となるとこれがかえって艶をます。睫毛が長くて眼の中がしっとりと濡れ、色がぬけるように白いので、実にどうも見とれるような美人。

アコ長は、いやアと馬鹿な声をあげ、

「これは艶か、あでやか。……大したもんですねえ、とど助さん」

とど助は、うむと唸って、

「実に、感服した。こうまでとは思わなんだ。これが狸とはもったいない話」

「でも、早まっちゃいけません。ひょっとして人間だったらえらい恥をかく。ちょっと念を押して見ましょう。……もしもし、そこのご婦人、つかぬことを伺うようですが、あなたもやっぱり、その……」

終りまで言わせずに、狸は婀娜に笑って、

「ええ、あたしは雌狸よ」

「こりゃアどうも、お見それ申しまして申しわけありません」