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Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.819 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

雌狸は、ぷッと噴きだして、

「お見それしましたは、ないでしょう、ご挨拶ね」

アコ長は、うへえと恐れて、

「これはどうも失礼。さア、どうかお乗りください」

と、まるでカタなしのてい。

雌狸は、いいようすでスラリと駕籠の中へ身体を入れ、

「どうぞ、やってくださいまし」

とど助、息杖を取りなおして、

「お伴いたすでござる」

二人ながら、たいへんな弾みよう。

さて、その翌朝、神田佐久間町の裏長屋、どんづまりの二間きりのボロ長屋でとど助がまだ高鼾で寝くたばっているのを、アコ長が、ひどく勢いこんでゆり起す。

「とど助さん、とど助さん」

とど助が寝ぼけ眼をこすりながら起きあがって、

「消魂しい、なにごとです」

「落ちついてちゃいけない。うまうまシテやられました」

「なにをどうやられたのですか」

アコ長は、いまいましそうに畳の上に小判を二枚投げ出し、

「ごらんなさい、ゆうべの二両は贋金です」

「なるほど、こいつアひどい鉛被せ。狸でも、やはり女は細かいな」

「それにしても、贋金というのはわからない。どうせつかませるなら木の葉だっていいわけなんだが、……いったい、こんな贋金をどっから持って来やがったもんでしょう。