Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.248 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

そろそろと這いずってゆくと、手先に着物の裾が触れたので、びっくりした。……あまり静かなので、いないとばかし思っていたのに、いきなり鼻ッ先にいるんだから、驚いて一度は逃げかかったが、どうやら、ずぶずぶになってつぶれているらしい。……よほどよく寝こんでいると見えて寝息さえきこえない。……そりゃアそうでしょう。その時は、角太郎に鍼を打たれて、もう死んでいたんだ。……杉の市はそんなこたア知らない。しめたとばかりで、肩から手でさぐりあげて行って、そこは角太郎とちがって馴れたもんです。中腰になったままで、ぼんのくぼへ、ずッぷり鍼をおろして、二三度強く震りこんだ。……度胸がいいようだが、やったとなると、あとはもう逃げ出したい一心。かねて企んだ通り、左手に撥を握らせると、あとしざりに勝手口からよろけ出した。……しかし、まア、妙なこともあるものですねえ、同じ日の同じ刻限に、同じ方法でやりに来るというんだから、日本始まって以来、こんな変ったのも少ねえでしょう。二人がここでひょっくり出っくわさなかったのが、ふしぎなくらい。……どっちの肩を持つわけでもありませんが、角太郎のやつも貧乏くじをひいたもの」