Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.248 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

一年中機嫌のいい日はないという藤波、どういうものか今日はたいへんな上機嫌。せんぶりの千太は呆気にとられて、気味悪そうにもじもじと揉手をしながら、

「えへへ、こりゃ、どうも……」

といって、なにを思い出したか、膝をうって、

「ときに、旦那。……清元千賀春が死にましたね」

「ほほう、そりゃア、いつのこった」

「わかったのは、つい、二刻ほど前のことでございます。……ちょうど通りすがりに、露路口で騒いでいますから、あっしも、ちょっと寄ってのぞいてまいりました」

「そう、たやすくはごねそうもねえ後生の悪いやつだったが……」

「長火鉢のそばで、独酌かなんかやっているうちに、ぽっくりいっちまったらしいんでございます。……なにか弾きかけていたと見えて、三味線を膝へひきつけ、手にこう撥を持ったまま、長火鉢にもたれて、それこそ、眠るように死んでいました」

「ふうん……医者の診断は、なんだというんだ」

「まア、卒中か、早打肩。……あの通りの大酒くらいですから、さもありそうな往生。……あッという間もなく、自分でも気のつかねえうちに死んじまったろうてんです。だれか、早く気がついて、肩でも切って瀉血させてやったら助からねえこともなかったろうにと医者が言っていましたが、なにしろ、運悪くひとりだから、そういう段取りにはならねえ。