Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.327 Zeichen · 43 Bildschirme
……中間部屋なんぞにゴロついていないで、旦那のところへお帰りになって藤波と正面きって張りあってくだすったら、旦那もどんなにかお喜びだと思うんですがねえ」
「いやいや、それはお前の考えちがい。……叔父はな、おれを風来坊の大痴だと思っている。……興ざめさせるのもおかげがねえでな。……これも、叔父孝行のうちだ」
門番詰所へ行って、役所の割符をだすと、門番頭のうらなり面が、ジロリと顎十郎を見て、
「おつれは」
「同心並新役、仙波阿古十郎」
怪訝な顔をするのを、かまわずにツイと押しとおって、長屋わきから中門口へかかる。六尺棒を持った番衆が四人突っ立っていて、どちらから。
そこを通りぬけると、金座の役宅門へかかる。ここでもまた、どちらから。
顎十郎は閉口して、
「どうも、手がかかるの。金というものはこんなに大切なものとは、こんにちまで知らなかった」
門を通って、ようやく役所の玄関。
名のりをあげると、座人格の下役が出てきて、勘定場へ案内する。
五十畳ほどの座敷へ二列ならびに帳場格子をおいて、二十人ばかりの勘定役、改役がいそがしそうに小判を秤ったり、包装したりしている。