Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.327 Zeichen · 43 Bildschirme
顎十郎は、吹屋のトバ口に立って、うっそりと眺めていたが、ひょろ松のほうへ振りかえって、
「ああして捏たり延したりしているところを見ると、まるで餅屋だな。……おい、見ろ、むこうの鞴のそばでは、金を水引のように細長く引きのばして遊んでいる。……さあ、帰ろう。こんなところに、いつまで突っ立っていたって、はじまらねえ」
吹屋の門を出て、職人下役の住居になっている長屋の一廓へやってくると、そこの空地で下役の子供たちが十人ばかり、揃ってまっくろな烏凧をあげて遊んでいる。
どれもこれも、いじけたような身なりの悪い子供。
顎十郎は足をとめて、子供たちの凧をぼんやりと見あげていたが、そのうちになにを考えたのか、手近のひとりのほうへ寄って行き、
「坊や、変った凧をあげてるな」
「なにが変っているもんか。凧屋へ行きゃ、ひとつ二文で売っている並凧だ」
「見れば、みんな烏凧ばかり。……よく気がそろうな」
頭の鉢のひらいた十歳ばかりのひねこびた子供で、舌で唇をペロリとやると、うわ眼で顎十郎の顔を見あげながら、
「……金座の烏組といや、江戸の名物のひとつなんだが、お前、知らなかったのか。