Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.327 Zeichen · 43 Bildschirme
「いつも烏凧ばかりでおかげがねえから、父親に白凧をつくってくれと前まえからせがんでいたところ、やっとのことでつくってくれたので嬉しくってたまらない。……夜があけるのを待ちかねてあげたのだ、と言っているそうです」
顎十郎は、うなずいて、
「だいたい、そんなところだろう。……おれならば、これほどの大仕事に子供なんざつかわねえ。……なんと言っても子供は正直だから、突っこめばすぐ底を割ってしまう。……だが、そうまで道具立てが揃っていて、相手が藤波じゃ、どう言いひらきをしてもまず通るまい。……気の毒なものだな」
「などと澄ましていてはいけません。……それで、あなたの御推察はどうなんです。なにか、おかんがえが出来ましたか」
「いや、まだまだ。……おかんがえなんてえところまで行っていない、トバ口ぐらいのところだ」
ノッソリと立ちあがると、凧糸をたぐって凧をおろしにかかりながら、
「ときに、ひょろ松、お前、あの前の晩の四ツごろ、金座の川むこうの松平越前の厩で小火があったことを知っていたか」
ひょろ松は首をふって、
「いえ、存じませんで。……なにしろ、この件にかかりっきりで、とても小火までは手がまわりませんや」