Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.327 Zeichen · 43 Bildschirme
「そんなお使いならお安いご用ですが、藤波に呼びだしをかける以上、なにか、きっぱりしたお見こみでもあるのですか」
「見こみは、これから考える。……まあ、なんでもいいから、藤波のところへ行って、ご足労だが、仙波阿古十郎が松平越前の厩わきで待っているからすぐ出むいてくれ、と言ってくれ」
「へい、よろしゅうございます。……どうせ、あなたのすることだ、まともに受けてたんじゃしょうがねえ。……よござんす、行くだけは行って来ますから、泣かずに遊んでいらっしゃい」
小火
矢場のとなりが広い馬場で、その横に厩が長い横羽目を見せている。
二日前の晩、小火があったあとで、厩の片はしのほうが五間ばかり半こげになり、馬立ての丸太が黒こげになって、ビショビショの地面の上にいくつも寝ころんでいる。
火事あとの水たまりを、ヒョイヒョイと飛びこえながらこっちへやって来るのは、江戸一といわれる捕物の名人、南町奉行所の控同心、藤波友衛。
れいによって、癇走った顔をトゲトゲと尖らせ、切れの長いひと皮瞼のあいだから白眼がちの眼を光らせながら近づいて来ると、冷酷そうな、うすい唇をへの字にひきむすんで、ものも言わずにぬうと突っ立つ。