Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.327 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

茶碗の茶をすてて、角樽からドクドクとついで差しだすのを、受けとってグイ飲みすると、

「……このあいだの時化で、遠州灘あたりでだいぶん揉まれたと見えて、よく、こなれている。……これは至極。……それで、願いというのはどんなことだ」

ひょろ松は膝をかたくして、

「……じつは、きのう金座から出た二十万両……。そのうち三万二千両の金が、そっくり掏りかえられたんで……」

「ほほう、三万二千両とは大きいな。……金座に、なにか騒動があったという話は、いま聞いたばかしのところだったが。……それで、いってえ、そりゃあ、どうしたという間違いだったんだ」

「……節季の御用に神田橋のお勘定屋敷へおくる御用金で、万両箱が十六、千両箱が四十。……金座のほうからは常式方送役人が二人、勘定所からは勝手方勘定吟味役が二人つきそって、常盤橋ぎわから船で神田川をこぎのぼる途中、稲荷河岸のあたりで上総の石船に衝っかけられ、不意をくらって、四人の役人は船頭もろとも、もろに川なかへ投げだされ、御用船のほうは上り下りの荷足の狭間へはさまって退くも引くもならなくなってしまった……」

顎十郎は話などはそっちのけ。