Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.040 Zeichen · 26 Bildschirme
精も根も吟味の練磨に打ちこんで、こうも身を痩せさせているのは、しゃれや冗談でやっているのではありません。多寡が死ちた鶴一羽。ひと目、創をあらためて、いわく因縁故事来歴、死んだものか殺されたものか、突き創なら獲物はなに。どういうやつが、どんなぐあいにどういうわけあいでやったものか、その場で即答できねえようでは、お上の御用はつとまらない。自分でいうのもおかしなものですが、江戸一の、日本無双のといわれる看板も嘘になる。それで、御無用と申しあげたのでした」
切って放したように言うと、驕慢な眼つきで甲斐守の顔を見かえした。
甲斐守は、寛容な面もちで、人もなげな藤波の話をききすましていたが、この時、言いようのない温和な笑顔をうかべて、
「上司を蔑するごとき言葉の数かず、役儀熱心のゆえと解してそれは忘れてとらすが、……では藤波、はばかりなく大言する以上、このたびのお鶴吟味には、さだめし、確たる推察があるのであろうな」
顔もあげずに、藤波、
「ございます」
甲斐守は思わず乗りだして、
「おッ、推察がついたか。して、『瑞陽』は死したるか、殺されたるか」
「殺されたのでございます」