Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうぞくじひょう
風俗時評
豊島 与志雄
Lesen Sie 風俗時評 (ふうぞくじひょう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.275 Zeichen · 23 Bildschirme
然るに、この含羞的と凡そ反対なものの一つに、洗濯物の処置がある。身につける如何なる物も、それが洗濯盥から出て来たものでさえあれば、屋上や軒先にへんぽんと飜えして憚らない。高架線の電車の窓などから見られる東京市の壮観は、洗濯物羅列を以て第一とするとさえ云われる。
入浴を好む者はまた洗濯をも好む。否、これは好みではなくて、既に身嗜みの一つであろう。羽二重の裏をつけた木綿の半被をひっかけ、素足に草履をつっかける、そうしたいなせな風姿が昔は市民の風俗のなかに確立されていた。この羽二重の裏も素足も、特殊な身嗜みから出発したものであろう。如何に襤褸をまとおうとも、肌には垢をためず、肌につけるものは清潔にしておくということが、一つの矜持として、根深い伝統になっている。首を切る或は切られることが、首筋を洗って云々の言葉で表現されるには、かかる風習の裏付けがあって始めて可能であろう。現在でも、衣類の襟垢の有無は、人柄を判断する一つの鍵とされることがある。庶民の家婦の仕事のうちで、洗濯は重要な部門となっている。
然るに、洗濯物の処置については、一向に考慮が払われていない。