Japanische Klassiker mit Furigana
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しょくま
食魔
岡本 かの子
Lesen Sie 食魔 (しょくま) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.911 Zeichen · 74 Bildschirme
自分よりは教師に容易く口の利ける妹に、用意万端整ったことを教師に告げよと、目まぜをする。妹は知らん顔をしている。
若い料理教師は、煙草の喫い殻を屑籠の中に投げ込み立上って来た。じろりと台俎板の上を見亙す。これはいらんという道具を二三品、抽き出して台俎板の向う側へ黙って抛り出した。
それから、笊の蔬菜を白磁の鉢の中に移した。わざと肩肘を張るのではないかと思えるほどの横柄な所作は、また荒っぽく無雑作に見えた。教師は左の手で一つの匙を、鉢の蔬菜の上へ控えた。塩と胡椒と辛子を入れる。酢を入れる。そうしてから右の手で取上げたフォークの尖で匙の酢を掻き混ぜる段になると、急に神経質な様子を見せた。狭い匙の中でフォークの尖はミシン機械のように動く。それは卑劣と思えるほど小器用で脇の下がこそばゆくなる。酢の面に縮緬皺のようなさざなみか果てしもなく立つ。
妹娘のお絹は彼の矛盾にくすりと笑った。鼈四郎は手の働きは止めず眼だけ横眼にじろりと睨んだ。
姉娘の方が肝が冷えた。
匙の酢は鉢の蔬菜の上へ万遍なく撒き注がれた。
若い料理教師は、再び鉢の上へ銀の匙を横へ、今度はオレフ油を罎から注いだ。