Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きがのなかから

飢餓の中から

中野 鈴子

Lesen Sie 飢餓の中から (きがのなかから) von 中野 鈴子 (なかのすずこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 647 Zeichen · 2 Bildschirme

Aozora Bunko

腹は凹んで皮ばかりのようだ

口はほせからツバも出ない

目はかすんでものが見えぬ

三分作なのに地主はおしかけて来た

来年の年貢をよこせと

そして 手をあわせて拝むわたしらを尻目にかけ

一粒のこらず かっさらって行った

毎日毎晩

わたしらは夢中で外へ這い出た

キョロキョロになって吹雪の中をかけまわった

木の根をむしった

草の芽をかんだ

見つけ次第

犬猫を殺し奪い合って食った

腹がキリキリした

ゲイゲイ吐いた

いまは 一匹の犬猫も見えぬ

一つの木ノ芽もない

娘らは小娘のからだで女郎に売られて行った

その金は借金取がおさえた

息子らは満州へ×いやられた

たくさんの息子らと一しょに箱づめにされ

そして停車場へかけつけたわたしらを

ホームへも入れなかった

さし出す息子らのかおを押しこめ

汽車の窓を閉じた

わたしらは地面に頭をおしつけて泣きくずれた

じたばた踏んだ

おお もはや

村中には

息子も娘も犬猫も木ノ芽もない

そして

腹がひっついてしまい目が見えぬ

だが

このままでいると思うか

なるほどヒョウも降った

雨も降り過ぎた

けれども自作農は七分作だぞ

わたしは肥料が買えなかったのだ

去年もおととしも

このままでは

来年もさらいねんもズッとキキンだぞ