Japanische Klassiker mit Furigana
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こうでん
香奠
豊島 与志雄
Lesen Sie 香奠 (こうでん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.989 Zeichen · 46 Bildschirme
こないだのように一緒に芝居を見にいったことなんか、まだ一度きりなんです。」
「そして一体君達の間の関係はどうなってるんだい。」
「関係って何にもありゃあしません。それだけのことなんです。」
「だって可笑しいじゃないか。若い男と女と外で始終逢っていて……。そんなら聞くが、君はその女と結婚する気があるのかね。」
「結婚なんか真平ですよ、あんな女と。向うでも嫌でしょう。」
「へえー、どうも僕にははっきり分らないが……。」
「だって先生の方が可笑しいじゃありませんか。一人で歩くより二人で歩いた方が面白いから、そうしてるだけなんです。」
彼の答えは如何にも平明で、何等疚しいところもなさそうです。それかといって私にはやはり腑に落ちないんです。そして変な問答をくり返してるうちに、家の者が帰ってきました。
「まあー、平田さん……。」
そう云って立ったまま眼を見張ってる妻の前に、彼は頭をかきながら極り悪そうにお辞儀をしました。次には子供達が左右から彼に寄っていって、彼を奪い取ってしまいました。
で話はそのままになって、彼は夕食の馳走になってゆくことになりました。
妻の心尽しで、餉台の上には酒の銚子まで並んでいました。